千束のM1911系カスタム(っぽいの)
千束のM1911系カスタム(っぽいの)を作ってみました~
※注意
・ファンが個人的な楽しみとして作ったものです。
・3話時点で作り始めたので、その近辺の描写を参考にしています。また、立体にするにあたり、アレンジ(私の勝手な妄想)をかなり入れているので「っぽいの」とさせて頂きます。
・解説4700文字くらいになっちゃったので、飛ばして写真だけ見て頂いていいです。
改修版を使って解説を行った同人誌を作りました。よろしければどうぞ~。
リコリス・リコイル、私は3話放映時に見始めて、いい…ってなりまして、そういやウチにガスブローバックのデトニクスあったな…作ってみようかな…?と、軽い気持ちで作り始めたのでした。
たきなのM&P風と一緒に。家にあったので勢いでスライド塗っちゃいました。作中ではサイトも銀色っぽいのですが、とりあえず実銃の文法で黒いままにしています。
部屋に転がっていたケースに布を張って入れてみました。
クリス ベクターが出てきたので、あわせて撮ってみました~。
11話、KSGが出てきましたね~。 グアムで撃って惚れて帰国後すぐ買ったトイガンを引っ張り出してきました。
■細部を見ていきましょう
使った部品は最後にまとめていますので、気になる方はそちらをご参照ください。
今回の工作は外観の変更のみで、BB弾発射機構に関わる部分は素のままで手を入れていません。ベースの性能が元々良いですからね。
・コンペンセイター(コンプ)
普通は銃身に取り付けることが多いのですが、千束のガバはフレーム側に付いています。
横に付いてる謎の斜めスリットなのですが、私の解釈でマズルブレーキの一部とさせて頂きました。
スリットがコンプの内部を貫通していて、斜めの部分に燃焼ガスが吹き付けられることによって、銃を斜め下に押し下げる力が生まれる…という感じかな…?と。PPSh41のマズルブレーキみたいな感じですね。使い終わったガスは横スリットと上部に排出というところもPPSh41と一緒です。
直角の長穴を切削で空けるのは難しいので、ここだけワイヤー放電加工かなーと想像しながら作りました。そうそう!塗装の際に後ろの穴からスプレーを吹いたら、上方・左右・前方に綺麗に塗料の粒子が抜けて感激しました。
コンプの取り付け方がわからなかったので、今回はフレームの下からねじ止めとしています(多分作中と一番異なる部分だと思います)。
ダストカバーごとごっそり外れるのでは?(根本の四角い部分は分解ボタンでは?)とか妄想したのですが、流石にトイガンベースではちょっと難しいので…。
ちなみに、コンプの面取りはデトニクススライドに合わせて同じくらいのR面取りにしています。後述するグリップがまるっこいので、こちらも合わせたほうがいいかな…と。
ただ…徐々に作中の描写でわかってきた感じだと、45度でスパッと切ってるっぽいですね…このへんは完全に私の手癖です。すみません…。
・ストライクフェイス
ガバ含めショートリコイル作動の銃は、銃口部分を前からぐっと押してスライドが下がると、ディスコネクターが作動します。
こうするとトリガーを引いてもハンマーが落ちず、撃てなくなってしまいます。
写真にするとほんのちょっとなんですけどね。
映画・独立愚連隊の一作目で佐藤允が「こうすりゃ瞬間撃てないってこと聞いてたもんですから」ってやってたやつですね。実はあのシーンで使われていたの、ストレートブローバックのM1910なので普通に撃てちゃう(M1910だとバレルをうまく避けてスライドだけ押し込まないといけない)んですが…というのが一昔前のガンマニアの共通ネタでしたね。独立愚連隊は、個人的に二作目の「西へ」が好きで…っと、話がそれました。
千束のガバは、コンペンセイターがフレーム側に取り付けられているので、銃口側を対象にぐっと押し付けてもスライドが下がらない(ので撃てる)ようになってるんですね。
5話でこれを活かした使い方をしていて、おおっ!ってなりました。
先端にトゲトゲを付けるのはアランズィッタのカスタムが有名ですね(ストライクガンなど)。先端を対象に押し付けた時に滑らないように…だったと思います(すみません、このへんうろおぼえです…)。
・グリップ
今回一番たいへんでした… 完成のビジョンがなかなか思い浮かばず、何日もかかりました…。
ガバってフレームの後部にメインスプリングハウジングがあるので、この部分を覆ってしまうオーバーサイズグリップってほんとに少ないんですよね(グリップ前方を覆うのは結構あります)。
検索しても例が全然見つかんないんですよね…。70年代の雑誌資料だと見つかるかもしれないのですが、流石に一冊ずつ探すのはちょっと大変なので…。
そのままオーバーサイズにしてしまうと、自分が思い描いてるライン(シルエット)にならないので、どうしようかな…と、かなり試行錯誤しました。
女の子が持つ銃ですから、あんまり大きなグリップにはできません。私自身、手が小さいのでこのへんは嫌でも意識してしまいます。あと、作中のシーンでグリップセフティが見えたので、作動する(握り込める)寸法にしないといけないなあ…と。
結局、フレーム後部とメインスプリングハウジングを削ってスリムにして、そこにグリップを被せるという方法で再現することにしました。
実銃M1911ではRound Heelと呼ばれているカスタムの応用ですね。フルサイズのM1911フレームだったら、もうちょっとカーブをきつくできたのですが、今回は約10mm短いV10フレームをベースにしているので控えめになっています。
グリップの材質は木で再現するのは諦めて(強度を確保しようとするとかなり分厚く、握り辛くなっちゃうので…)、こういう色の樹脂を使っているということにしました。
実際ターゲット競技方面で、こういう色のガバ用プラグリップがありますね。興味のある方は1911 target gripで検索してみてください。
モノができて握ってみると、これが意外といい感じの握り具合でびっくりでした。ワルサーP38やSIG P210をちょっと太くした感じ?…あ、M92FSにも似てるかもしれません。
あのグリップ、太っちょで賛否が分かれるんですけど(私も手が小さいのであんまり…)、グリップ後部の手のひらに当たる面積が大きいおかげで、体感反動が和らぐんですよね。これはグアムで実際に撃って感じました。
このカスタムはM92と違ってトリガーリーチがM1911と同じなので、手が小さくてもトリガーを引きやすいのです。
・左グリップの突起
ここも悩んだ部分です。千束は戦闘時にマガジンを頻繁に交換します。ガバはシングルカラムで弾数が少ないですからね。
個人的に、ガンアクションの醍醐味ってマガジンチェンジのシーンだと思っているので、千束が頻繁にマガジンチェンジしてるのすごく好きなんですよ。
グリップに突起を付けるとして、この突起がマガジンキャッチを押す際に邪魔になるのはよろしくない。作中の描写とすり合わせて色々考えて、この場所と形にしました。
作る前は、どうだろう…?って思っていたのですが、実際に両手で構えてみると、左手の母指球(親指の根本)が丁度引っかかって構えやすいことがわかって驚きました。
作中の描写では右グリップにも突起がついているようなのですが…実際やってみると握りにくかったので今回はつけませんでした。
・トリガー
作中の描写から、これかな?と、M45A1のロングトリガー(穴なし・黒)を選びましたが、普通にデトニクスのトリガーを黒く塗るだけでよかったかもしれません…。
・グリップセフティ
作中の描写を見ると、ビーバーテイルではなくデトニクスのようなテールなしになっています。すごく珍しいですね。この部分のお陰で銃のシルエットが特徴的なものになっています。
使えそうなパーツは当然ありませんから、MEUピストルのものを加工してそれっぽく仕上げました。
スが出てきたら面倒だな…って思いながらテールをぶった切ったんですが、杞憂に終わってよかったです。
ぱっと見た感じでV10のグリップセフティは肉厚が心もとなくて、MEUのものを使ったのですが、V10のを加工しても同じになったかも…。
ちなみに、フレーム側も少し削って違和感が少なくなるようにしています。
・バレル
作中ではコーンバレルではなく、段差付きの面白いものを使っていますね。実銃M1911用のカスタムパーツでもマイナーですが存在します。
今回は、デトニクスのインナーバレルからスプリング類を取り外して、Oリングを一回り小さいものに交換。あとはMEUのアウターバレルをぶった切って作りました。
Oリングだけだとガタが取り切れなかったので、アウターバレル先端に3Mのメインディングテープを巻いてガタ取りをしています。劣化しにくいのでこういったカスタムに便利なんですよね。
コーンバレルよりも段差がありますが、一応問題なく作動しますね(塗装剥がれが嫌であんまり撃ってないので、あとでなんらかの問題が出るかもですが…)。
描写によってはエジェクションポートから見える部分だけ銀色っぽく見えることもあるのですが…とりあえず黒のままにしています。
・フロントサイト
最初、そのままデトニクスのサイトを使う予定だったのですが(アリミゾ加工やりたくなかった)、実際にコンプを付けて構えてみると、どうも収まりがよろしくないとわかりました。そのときは未塗装だったので、狙うとコンプが悪目立ちしてサイトが見づらいな…って。感覚的なものなんですけど、やってみないとわかんないもんです。
結局、別のサイトを載せるため、アリミゾ加工をすることに…手やすりです
アリミゾ加工後、デトニクスより2mm高いMEUのフロントサイトを載せました。見栄えがいいようにサイト基部を左右数mm削っています。
・リアサイト
ストライクウォーリアを持っていないので、ノバックっぽい形で新造しました。
フロントサイトが高くなったので、それに合わせて高さを調節したのですが…ちょっと大げさになっちゃったので、ディスプレイ用は1mmサイトの高さを下げています。
・マガジンバンパー
ねじを空けるのが難しかったので接着。ねじはダミーです。ガス版のねじが一つ足りないのはガス注入口です。
見せる用はモデルガンのデトニクスから(昔ジャンクで2000円で買ったやつ)。V10フレームで使うには短いのですが、ぱっと見だと違和感ないですね。
モデルガンはトイガンアレンジでちょっとフレームが長いのでそのおかげでしょう。
・ちなみに、組む前の中身はこんな感じです。
V10のグリップフレームに無理やりデトニクススライドを載せているので、ダストカバー部分の寸法が足りません。コンプ側の肉厚を増やすことで対応しています。
グリップフレームはV10ですが、スライドとの噛み合わせの関係でインナーフレームアッシーはデトニクスのものに交換しています。ちょっとマガジンが引っかかる感があったので、干渉部を面取りしました。
スライドとフレームの刻印消しが地味に大変でした…今回はウェーブの黒い瞬間接着剤で作業したのですが、そういや溶かしたABSを使う手もあったな…って途中で気づくという。塗装はブラックスチールを使っています。
■まとめ
こんな感じです~。軽い気持ちでスタートしたのが、想像以上に大変でした!実際に形が出来る度に「なるほど!この方法だと実現できる!」ってことが多くて面白かったです。きちんと考えてデザインされたカスタムガンですね。
グリップあたりで完成が見えなくなってちょっとめげそうになったのですが、その度に本編を見返してモチベーションを回復しながら作りました。外連味たっぷりなガンアクションが素敵ですし、千束とたきなの関係性と会話がすごくいいんですよね…。
久々に手を動かして物をつくることが出来て、とても楽しかったです!
■簡単なパーツ構成メモです
(興味のある人向け)
パーツ流用
・スライド…デトニクスを小加工
・スライド内部パーツ…デトニクス
・インナーバレルアッシー…デトニクス
・インナーフレームアッシー…デトニクスを小加工
・ハンマー…デトニクス(黒く塗装)
・アウターバレル…MEUをカットして部品追加
・フロントサイト…MEUを小加工
・スライドストップ…MEU
・グリップセフティ…MEUを加工(V10を加工でもいいのでは?)
・グリップフレーム…V10を小加工
・メインスプリングハウジング…V10を加工
・ハンマーストラット…V10
・マガジン…V10
・トリガー…M45A1(デトニクス用を黒く塗るだけでいいのでは?)
・グリップスクリュー…GUARDER(手持ちで銀色が無かったので)
その他、ピンやスプリング等の細々したパーツはデトニクス
新造
・コンペンセイター
・グリップパネル左右
・リアサイト
・マガジンバンパー
■おまけ その1
今回使った工具類です。
ごく普通なものばかりで、特殊な工具は全然使っていません。あ、この写真では抜いていますが、紙やすりもかなり使っています。
今回、利点は知りつつもなかなか手が出なかったマルチアングルバイス(ホビー万力)を導入しました。なんかホームセンターで2000円くらいで売られていたのを見かけまして…パッケージもブリスターパックでびっくり。勝手なイメージで、こういうのはニッチな商品で高いんだろな…って思いこんでました。
誇張でなく、やすり作業の精度が倍に、疲労が半分以下になりました。これが無かったら手やすりでアリミゾ加工をやろうなんて思わなかったですね。もっとはやく買えばよかった…。
■おまけ その2
余った部品を組み合わせてコンパクトを一丁でっちあげてみました。
スライドに合わせてダストカバーを切り詰めただけのお手軽改造です。スライドの可動域がちょっと余裕無いので、その辺は要調節ですね。ベルトクリップもあるとよさそう。
千束ガバと並べてみました。ガバはこういうことができるので楽しいですね。